茹でてないのに赤いカニ!ガラパゴスベニイワガニとは?

茹でてないのに赤いカニ!ガラパゴスベニイワガニとは? アイキャッチ

ガラパゴス諸島を訪れると、探さなくても目に入る真っ赤なお方がいます。

ポップなガラパゴスベニイワガニ

嘘みたいにポップ。
この生き物を知らない人に写真を見せると
「茹でてあるの?」
「色おかしいよコラ画像?ニセモノでしょ?」
など、様々な反応を示されますが。

茹でてもいないし、コラでもない。

立派なガラパゴス諸島の固有種、ガラパゴスベニイワガニ(sally lightfoot crab)様なのです。

すごいのは色だけじゃない!見事な身体能力を持つカニ

実物を目にすると「思ったより大きい」という印象のこのカニ。
体長は20cmほどまでに大きくなります。
子どもサイズのウミイグアナと並ぶとこんな感じです。

ウミイグアナと和むガラパゴスベニイワガニ

「カニ歩き」という言葉があるほどカニといえば横歩きの印象ですが、ガラパゴスベニイワガニは前後にも歩きます。
そればかりか、岩と岩をぴょんと跳んで渡ります。
その様子は、人間の私なんかよりずっとフットワークが軽いです。

その食生活は…!?

海辺の岩場に集団でいることが多いので、一体何をしているんだろう?と観察してみると

ガラパゴスベニイワガニ食事中

岩に生えた藻をお行儀よく食事中。

ガラパゴスベニイワガニ 大人と子ども

こちらでは、子ども(左)と大人(右)が並んで仲よく藻を食べています。
ガラパゴスベニイワガニは、子どものうちは黒っぽく斑点模様があるのが特徴です。
ポップカラーは大人の特権。

時には日光浴中のウミイグアナに登って、いらない角質をつまんで食べてあげていることもあります。
「へ~、カワイイ食生活♪」と癒されましたか?
彼らは本当はこんなもんじゃないんですよ。

子どものうちは上記の通り藻や動物の古い角質が主食ですが、大人になると主に肉食にシフト。
小さな甲殻類を食べるのに加え、当たり前のように共食いも行っています。
自分より少しでも小さい相手ならば食べてしまうそう。
というわけで、手っ取り早くお互いの大きさを測れる方法がこちら。


ガラパゴスベニイワガニの取っ組み合い

取っ組み合い。

ガラパゴスベニイワガニのいるところでは頻繁に見られるこのレスリング試合。
私が意外に思ったのが、この時の音。
スーパーのセルフで詰める揚げ物売り場なんかに置いてある、プラスチック容器を2つぶつけ合っているみたいなカチャカチャ音なんです!
このカニたちの取っ組み合いからそんな音がするなんて信じられなくて、3度見くらいしてしまいました。

ガラパゴスを歩いていてどこかからあのカチャカチャ音が聞こえてきたら、ベニイワガニが試合中ということです。

弱肉強食の世界を見た…

ある日港を歩いていたら、何かを運ぶベニイワガニを見かけました。
その様子がこちら。写真を3枚連続でどうぞ。

運ぶガラパゴスベニイワガニ① 運ぶガラパゴスベニイワガニ② 運ぶガラパゴスベニイワガニ③

カニがカニをテイクアウトしている…

例のカニ試合の末に敗れてしまったのか、それとも既にどこかで命尽きていたところを見つかったのか。
一見、とてもポップでぴょんぴょんしているガラパゴスベニイワガニですが、厳しい弱肉強食の世界を生き抜いているんですね。

あっ、ちなみにこのカニは食べられません!
正しく申し上げれば、食べるのは禁止です。
ガラパゴスの厳しい生態系保護ルール・法律が整備される以前の昔は島民の間で食べられていたそうで、島のおじいちゃんおばあちゃん世代は「あのカニは絶品」と懐かしそうに話すので大変美味しいそうですが…今はもう観賞用のカニ。暖かく見守りましょうね!

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。