要注意!日本米風ご飯の唯一の弱点

要注意!日本米風ご飯の唯一の弱点 アイキャッチ

前回の記事↓の通り、エクアドル米を日本米風に炊く方法を発見しました!

海外生活の壁…エクアドル米問題を乗り越えた方法

これで私のガラパゴス生活にお米が現れるようになる…!
それまでは主食はほぼパスタな日々を送っていましたが、これからはカレーや親子丼といったご飯ものも作れるようになりますし、そんなメニューでなくても、普段の食事にお茶碗に入った白米が同伴している姿を想像するだけでもう泣けてきます。

初めてこの方法で日本米風に炊くことに成功した際、炊きたてのお米をおにぎりにして食べたらそれはもう嬉しくておいしくて…。

おにぎり

「そういえば、明日はフィールドワークでお昼ご飯は各自用意して持ってくるように言われたな。おにぎり持っていこう!」

ということで、翌日のお昼用のおにぎりも作ることにしました。
ウキウキだった私はその時まだ、闇の足音が近付いていることに気付いていなかったのです…。

そしてフィールドワークへ

プロジェクト・ガラパゴス・ベルデ2050(GV2050)では、各島へ還した植物たちを月1回モニタリングで生育状態等を確認します。

《GV2050って?という方はこちらの記事をご参照ください》

保全活動に興味がある人に考えてほしい、「植林」という言葉

この日はバルトラ島モニタリングでした。
この島は通年を通して晴れていて日差しが強く、フィールドワークではとても体力が消耗されます。

バルトラ島といえばガラパゴス諸島の空の玄関口、Seymour空港でお馴染みです。
しかし空港を除けば人間の往来のない無人島であるこの島。
空港敷地外では、だだっぴろい大地だけが広がっています。

バルトラ島

この島ではよくリクイグアナに出会います。

リクイグアナ

GV2050で還した植物全ての大きさを測って記録するため、炎天下で立ったりしゃがんだりを100回以上繰り返すモニタリング作業は体力勝負!

しかし今日はとても心強い…なぜならおにぎりたちがついていてくれるから!
お昼休憩を楽しみに、午前の作業を汗水たらしながら頑張りました。

やってきたおにぎりタイム

きりのいいところまでモニタリングし終えると、
「ここらでお昼休憩にしよう」
ということになりました。

待ちに待ったおにぎりタイムの到来です!

皆で大地に腰掛け、各々ランチをリュックから取り出しますが
皆私のおにぎりに大注目。
実は、ガラパゴス(エクアドル)では日本のテレビアニメが沢山放送されているため、皆おにぎりをアニメを通して知っていたのです。

「それ、ポケモンで見たことある!」
「一度マネして作ってみたけどうまくいかなかったよ、どうやったの?」

目を輝かせて色々聞いてくれる皆に得意げに説明を始める私。
「エクアドル米はパラパラだから、こうして握ってもまとまらずにポロポロ崩れちゃうんだ。粘り気のある日本米だからこそおにぎりは作れるんだよ。ここでは日本米は手に入らないから、キャッサバ粉を加えて炊いたらいい感じになったの!」

そしてニッコニコでひとくち食べた私に衝撃が走ります…

なんということだろうか…!


なんと、お米がパラッパラのパッサパサ!
ひとくち噛んだところからホロホロと崩れてゆくではありませんか!

え!?どうして!
あんなにきちんと日本米のようだったのに、どうしてしまったのか!
ていうか冷たいパラッパラご飯にキャッサバ粉の粉っぽさが際立って、ぜんっっっぜんおいしくない!

さきほどまで意気揚々と説明していた私が突然すごい顔になって
「違う…こうじゃない…こんなの、おにぎりじゃない…」
と呟きだして皆「???」状態。
私はふたくち程度だけ口にしたおにぎりを静かにリュックにしまい、クラッカーを取り出してポリポリ食べ始めました。
その様子がとても闇が深かったのか、誰も「あれ、おにぎりはどうしたの?」と聞いてくることはありませんでした。

これこそが日本米風の弱点だった

そう、この日本米風ご飯は冷めてしまうとパラパラパサパサのエクアドル米に戻ってしまうのでした。
あの日本米のような粘り気は、いっときの魔法に過ぎなかったのです…。

冷蔵庫で冷やせばもちろんですが、炊いてしばらく常温で放置してもこうなってしまいます。
この日本米風ご飯は炊きたてをいただくのです。
(私の行っていたキャッサバ粉投入様式の他、圧力鍋方式でもやはり冷めるとアウトだそうです。)

しかし、毎食毎食鍋で炊くのはとても面倒ですよね。
ありがたいことに、この魔法は蒸気で暖めれば復活します!

ということで、私は一度にこの日本米風ご飯を沢山炊いて冷凍保存し、食べる時には必要な分お茶碗やお皿にご飯を盛り、高さ1~2cmほど水を加えた鍋にそのご飯を器ごと入れて置き、火にかけていました。
つまり、蒸し器方式ですね!

電子レンジを使用する際は(ガラパゴスではあまり電子レンジは普及していませんでしたが)、ただ暖めてもあまり復活しないので、少し水をかけてから暖めるとそこそこ復活しました。
しかしあまりおすすめしません、蒸し器方式の方が復活具合が断然いいです。

このフィールドワークの日の悲しみのおにぎりは、自宅に帰ったあと蒸し器方式で鍋で暖めておいしく頂きました。
「そうそう、これだよこれ!」
と嬉しく頬張りながら、
「今日のランチの私の様子、すごい情緒不安定な人みたいで皆怖かっただろうな…」
と反省しました。

まさか、日本米風のお米の魔法は冷めるととけてしまうとは思っていなかったのです。
自分の発明品にタイムリミットがあることを知った博士のリアクションってまさにこうだよな、と思いました…そんな映画見たことありませんが、ね。

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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。