【これは一体】エクアドルでマッサージを受けたら土偶になった話【日本でもそうなの?】

【これは一体】エクアドルでマッサージを受けたら土偶になった話【日本でもそうなの?】 アイキャッチ

肩が凝る。体をほぐしたい。スベスベになりたい。

それは私が常々思っていることです。
だからマッサージというものに興味があるのですが、「料金が高かったらどうしよう」とか「施術中ってどこ見たらいいんだろう」とか「顔にタオルかけられたりする?それを鼻息で飛ばしちゃったらどうしよう」とか、余計なことを色々考えてしまっていつも挑戦できないんです。

そんな私に転機が訪れました。
ガラパゴス諸島に居住時、ビザの更新手続きの都合で一旦エクアドル本土生活を送っていた際のことです。

《なぜガラパゴス諸島に?という背景はこちらをご覧ください》

気付いたら、ガラパゴス諸島民。

実はエクアドルは温泉大国

全然イメージがありませんが、火山が多いエクアドルは温泉大国。
私たちと同じように、エクアドル人の皆さんは家族や友人と温泉旅行へ出かけます。
日本の温泉と違うのは、水着で入浴するところです。
さらに40度未満が基本でぬるめなので、日本人からすると温水プールという感覚が近いかもしれません。

エクアドルにいる間数ヶ所温泉地を巡りましたが、私のマッサージ史に転機をもたらしたのは、チャチンビロの温泉でした。

テーマパークのような素敵な温泉

あ!あそこだ!と最初に目に入る外観がこちら。

チャチンビロ温泉外観

大きな龍のスライダーが、わくわくを加速させます。もはやテーマパークです。

温泉受付

受付もいい意味でワイルドリゾート感がします。
入場料は大人5ドル、子どもとシルバー世代は2,50ドルです(2020年現在)。

更衣室

更衣室は男女別ではなく、試着室のような個室が沢山用意されているので人目を気にせずゆっくり着替えられます。

ファンシーなシャワー

入湯前後に浴びる用のシャワーも沢山。
個室タイプのシャワーもあれば、こんな可愛いものも。浴びてるだけでニヤニヤしちゃう。

さぁ、いよいよ温泉に入ります!
広い!沢山ありすぎてどれから浸かろうか迷います!これは1日中いられますわ!

大温泉1 大温泉2 龍のウォータースライダー搭載 ジャグジー・猛禽類搭載

サウナもあります。

サウナ小屋

楽しく歩き回っていたら、こんな張り紙を発見しました。

マッサージ価格表

ボディマッサージ $15
フェイシャルマッサージ $5
(※2016年写真撮影時の価格です)

エクアドルの通貨は米ドルです。
つまり1ドル=108円として、ボディとフェイシャル合わせても20ドル=2160円!!
これは、これはとっても安いのではないか…!?
日本だったらまず受けられない価格だろうと思い、異邦人テンションも相まって、私は人生における初めてのマッサージ体験をここに捧げることを決意します。

マッサージ申込み受付らしきところへボディとフェイシャルの予約をしに行くと、
「ボディマッサージにはフェイシャルも含まれているので、ボディの方の予約でいいですね?」
と、なんと予想よりさらに安価で受けられることに。幸せじゃ幸せじゃ。

「では、〇時にあちらのマッサージルームへ直接お越しください。」

告げられた時間までウキウキしながらさまざまな湯に浸かったり、館内レストランでご飯をいただきます。
その間、
「私は!生まれて初めてのマッサージを!大変お得な価格で!エクアドルで受けます!」
と脳内放送が何度も何度も流れます。

待ちに待ったマッサージ体験

約束の時間になり、ドキドキしながらマッサージルームのある建物へ。

マッサージ用建物


女性のマッサージ師さんが笑顔で迎えてくださいます。

ふたつ施術台があるのみの小さな部屋です。

「まずは上半身を脱いでください。」

Oh、そうか…マッサージって脱がなくちゃいけないものなのか。
水着でやってきた私、これ以上の露出は行わなくていいと思い込んでいましたが、人生そんなに甘くない。
相手が同性とはいえ、なかなか恥ずかしいものでした。
ナイスバディな女性ばかりのエクアドルで、日本人トップレベルの残念ボディをお披露目するんですから。

施術台にうつ伏せになり、まずは足からマッサージが始まります。
エッセンシャルオイルと美容に良い土を混ぜ合わせたという温かい泥パックのようなものを塗られ、ほぐされていきます。

「どこから来たの?」
「日本から来ました。」
「そう…あのマッサージ大国日本ね。」

そうか。私の知らないうちに日本はマッサージ大国と呼ばれるまでに成長していたのか。
そういえば、ガラパゴスの友人の家にあった電動マッサージ座椅子に「SHIATSU」ってボタンがあったっけ。
ぼんやりそんなことを考えていたら、お姉さんが自信あり気にこうおっしゃった。

「でも私ね、なんたってコロンビア仕込みなのよ!この腕は日本のマッサージにも劣らないと思うわ。」

マッサージの世界事情に疎い私、リアクションに困る。

コロンビアで修業を積んだというのは、その、マッサージ界においてはもしかして水戸黄門が印籠を提示するくらいすごいことなのでしょうか。
とりあえずこういう時は話を合わせるのが一番なので、「コ、コロンビアで!?それはすごいですね!」とオーバーに反応します。
お姉さんは上機嫌に私の足、腰、背中、肩、首とマッサージしていきます。
確かにこの痛気持ちよさは、一級な気がする…!わりと筋肉をゴリゴリするハード系だけど…!

そしてお姉さんの指示に従い、今度は仰向けにひっくり返りました。
マッサージに不慣れな私、どこを見たらいいのかわからなくなります。
お姉さんの顔をめっちゃ見つめるのもあちら側としては気味が悪いですよね?
かと言って天井を眺めていると魂抜けた人に見えそうだし…。
大変悩んだ末に目を閉じて、心からマッサージを味わっている風味を醸すことにします。

目を閉じているとアロマの良い香りをより一層感じられるようになりました。
これは良い。これは良いぞ。

そしてマッサージはラストスパートへ…って、あれ?


待ちに待った、最終工程フェイシャルマッサージとなりました。
泥パックがたっぷり贅沢めに使用されます。

私のアンパンマンのような頬肉は手ごたえがあるのか、「そ、そんなに?」と思うほどほぐしまわされました。

「これですべすべな肌になるわよ。」

ささやくようなお姉さんの言葉は呪文のように私のマインドに沁み入ります。
これを終えたら、私は超絶美肌…。
うっとりとしていると、全工程が終了したようです。

「はい。これでOKよ。あとはこの泥パックが乾くまで、10分放っておきましょう。」

そう言って、まな板の上の鯉状態の私を置いたままお姉さんは部屋から去っていきました。
放っておかれるのって、私のことだったの?
まぁいいや。人目を気にせず、こうして横たわっていればいいんだから。
うとうとしてようかな。

しかし、ものの1分ほどで問題が発生します。
ここ、チャチンビロは標高4106mの高地。
暖房もないこの部屋は寒いのです。
そこにパンツ一丁泥まみれで横たわるマイボディは、だんだんと震えていきました。
先ほどまであったか泥マッサージだったため気づきませんでしたが、その泥も冷えながら乾いてゆき…。

かぐや姫の名曲「神田川」に出てくる、あの例の小さな石鹸のように私がカタカタと音をたてて震えます。
人間の体って、こういう状況下でカタカタ鳴るんだな。

やっと終わったと思ったら予想外の展開に

カタカタがガタガタになった頃、「やだ!寒かったのね、ごめんね!」と言いながらお姉さんが部屋に戻ってきました。
大幅に震えながら
「こ、このあとどうするんですか…?」
と尋ねると、
「あったかいシャワーで全身の泥を流せば完了だから。」
とのこと。
よかった…あったかいシャワー…あびれる…。

「で、シャワーはこの建物出て、まーっすぐ歩いたところにあるから。お疲れ様でした、チャオ☆」

この建物出てまっすぐ…?

私はこの、すっかり泥パックが乾いて全身カピカピ黄土色になった、土偶状態でお外に出されるのですか?

ここで今一度マッサージルームの位置を確認してみましょう。

マッサージ用建物

そう、一歩出れば温泉。公共の場。
午後になったこともあり、家族連れでワイワイ賑わっています。

そこに?下だけ履いた土偶が登場?捕まりますって。

さすがにこれで出ちゃまずいでしょう、せめて上は隠しましょうよ、と水着の返却を所望します。
「その状態で水着を着ると色移りするから着ないように」

とお姉さんがおっしゃるので、とりあえず上半身の前で抱えるしかありません。

公共土偶デビューは恥ずかしい。けど寒いから一刻も早くあたたかいシャワーを浴びたい。
勇気を振り絞って土偶はお外への扉を開けます。

目の前の温泉プールにいた家族連れがギョッとしたのがわかりました。
中でも小さなお子様が硬直しています。
その視線の中を「すみません、すみません」と呟きながらプールサイドを歩いていく不気味な土偶。
別のお子様が「あの人どうしたの」と声を上げます。

お母様が慌ててコラッと叱りますが、お子様は「だってすごいよ、すごい変な色だよ」と追い打ちをかけてきます。
シャワーまでの数十メートルが、ものすごく長く感じました。

やっと到着したシャワーで洗い流すも、この土偶の皮が屈強でなかなか落ちない。
「やだ、私本当に土偶素材になっちゃったの?」と思考回路がだいぶおかしくなっていきます。
大変な時間をかけてなんとか人間復帰を果たしたところ、たしかに肌はすべすべしていました。

日本のマッサージもこうなのか?

この土偶体験は今も夢に見るほど強烈な思い出となったのですが、もしかしてこれは普通のことなのでしょうか?
日本のマッサージもこんな感じなのですか?

個人的に戸惑ったのは

・施術がなかなかゴリゴリで翌日筋肉痛になった
・泥パックが乾くまで室内にひとり残されリアル自然乾燥
・それを洗い流すシャワーが建物の外、結構離れたところにある

の3点なのですが…。
いやいや、同じエクアドルでも他の場所のマッサージは何かまた違うんじゃないか?どうかそうであってほしい。
しかしまた土偶化したらちょっと困るなぁ…とひるんでしまい、エクアドル滞在中他の温泉地に行った際も、そして帰国した今も私はマッサージの扉を開けずにいます。

~このブログの著者の本『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん』(さくら舎)好評発売中!~


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ABOUTこの記事をかいた人

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ。著書『バットフィッシュ 世界一のなぞカワくん― ガラパゴスの秘魚』(さくら舎) 。 たまたま本で見たガラパゴスバットフィッシュに大恋愛し、大学在学中に2度ガラパゴス諸島に渡航、バットフィッシュを観察。 卒業後は、ガラパゴス諸島のチャールズ・ダーウィン研究所のボランティアスタッフとして活動。およそ1年半をガラパゴス諸島及びエクアドル本土で生活した。現在、ガラパゴスバットフィッシュやガラパゴス諸島に関する寄稿、トーク、講演、メディア出演等を行っている。