ガラパゴスバットフィッシュ(レッドリップドバットフィッシュ)は、そのユニークさからこれまで「へんないきもの」「ざんねんないきもの」といった書籍にイラストで掲載されてきました。
マンガ「波打際のむろみさん」では、そのままガラパゴスバットフィッシュというキャラクターとして描かれています。
しかし!!
私はそれらのイラストを拝見する度に、グヌゥ…と唸ってしまいます。
その全てに共通して、欠けている部分があるからです。
それを責めようとは決して思いません、なぜなら私自身も実際にガラパゴスの海で彼らを観察するまで気付かなかった部分でしたから…。
お時間のある方、まずは本記事を読み進まずに、今この段階でガラパゴスバットフィッシュの絵(斜めか横からの角度)を是非描いてみてください。
その後、答え合わせとしてここから先の文をご確認くださいませ。
もし、その部分まで描けていたら…貴方様は、お世辞ではなく本当にものすごく観察力が鋭いです!全ガラパゴスバットフィッシュと私がスタンディングオベーションで讃えさせて頂きます!
誰もが気付かない?この部分、わかりますか?
それでは参ります。
こちらが、実際のガラパゴスバットフィッシュ(レッドリップドバットフィッシュ)の写真。
そしてこちらが、2009年出版「せいぞろい へんないきもの」の表紙イラストのバットフィッシュ。
…この本面白いですよね。生き物それぞれの解説文がユーモラスで…って、それはさておき、何かが足りていないのに、気付きましたか?
正解は…
この部分でございます!
え?よくわからない?
もう少しクローズアップされた別の写真でもどうぞ!
この!写真立ての脚のような!!気持ちばかりの尻ビレ!!!
この部分、以前の私含め本当に本当に皆様なかなか気づかないのです!だって地味だから!
他のお魚と比べるとあまりにも心細い、「これはほんの気持ちですが…」とバットフィッシュご本人も言っていそうな尻ビレ。
それでも、このように地に前脚と後脚(正しくは腹ビレと胸ビレ)をつけている時にはこの尻ビレも活躍していて、安定したバランスで立ち止まるのにそれなりに重要な役割を担っているようです。
なぜなら、泳いだのち着陸する間際、彼らはこの尻ビレをピコンと立てるのです。
その役割は、まさに写真立てが自立するための脚(イーゼル)かのよう。
逆に、泳いでいる際はこのようにこの尻ビレを立てずに胴体に沿わせています。
しかし、このようにぴっちりと体に沿わせずに甘くたたんでいるだけの場合もあります。
もう着地しようか、それとももうちょっと泳ぎ続けようか迷っているのかもしれません。
あくまで私見ですが、観察しているとこの尻ビレに彼らの心理がなかなか顕著に表れると感じます。
ガラパゴスバットフィッシュだけじゃない
この非常にささやかな写真立ての脚かのような尻ビレは、ガラパゴスバットフィッシュ(レッドリップドバットフィッシュ)のみでなく全ての近縁種にも存在します。
ガラパゴスバットフィッシュは世界中のどの水族館にも展示されておらず、現地の海中でしか見ることはできませんが、北米中米の大西洋側に生息する近縁種のロングノーズバットフィッシュやポルカドットバットフィッシュは日本の水族館でも展示されていることがあるので、是非この可愛い尻ビレを観察してみてください!
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